筆算固有の問題
【単元の目次】
《数学Ⅰ・A》
数と式  • 根号計算  • 場合の数.順列.組合せ  • 確率  • 2次関数 • 2次不等式  • 集合・命題・条件・証明  • 正弦定理,余弦定理
♪♥ この教材は,高校数学の基本問題のうち,筆算だけで解く問題(1)のマイナーチェンジありのカバー版です.
♫♣ 元の教材が通信トラブルなどで読めないときに,こちらを使ってください.なお,学習の記録は付いていません.

== 筆算だけで解く問題(1) ==

■ 筆算だけで解くとは
 自宅や学校で学習しているときは,教科書の巻末についている三角関数表を見ることもできますし,あればコンピュータも利用することができます.だから,普通の状況では,sin46°とかcos12°のような覚えていない角度の三角比の値でも自由に使える(ただし小数点以下第4位までの小数の値)ことになっています.
 これに対して数学の試験の場合には,特に許可されない限り数表やコンピュータ,携帯電話は持ち込めないのが普通です.このように,高校生が最もよく出遭う場面では,問題は「筆算だけ」で解かなければなりません.
 このように数学の試験のように「筆算だけで解かなければならない問題」ではsin75°,cos105°のような値は,覚えていないから使えないことになります.
 そこで,sin75°,cos105°などの値が必要になったら,別の角度を利用する方法を探します.
 このときに用いられるものには,「正弦定理」「余弦定理」の他「余弦定理で2次方程式を作る方法」「第一余弦定理」「三角形の内角の和」などがあります.
  • 正弦定理
  • (第2)余弦定理
  • 余弦定理で(aの)2次方程式を作る:
  • b2=c2+a2−2ca cos Bなど
  • 三角形の内角の和 A+B+C=180°
  • 第1余弦定理 a=b cos C+c cos B
[第一余弦定理]
(解説)
次の図のように,Aから垂線をひくと,
a=b cos C+c cos B
 この関係はB≧90°またはC≧90°の場合にも成立します.
 第一余弦定理は,1つの辺(a)の大きさを求めるために,辺の長さ2個,角の大きさ2個を必要とするため,余弦定理よりも「弱い」定理ですが,角Aの値が利用できないような場合に有効です.
 この関係を第一余弦定理,(通常用いる)余弦定理のことを第二余弦定理と呼ぶことがあります.

 a=2, A=45°, C=75°のとき辺cの長さを求めなさい.

  (第一印象)
 正弦定理を利用すればcが求められるように思えますが,sin75°の値が使えません.(図↑×)
(答案)
三角形の内角の和は180°だから,B=60°(図↑○)・・・(1)
正弦定理により,だから, (図↑○)・・・(2)
  第一余弦定理により,(図→○)・・・(答)

参考:
(別解1) 上記の(1)(2)まで同じ答案を書いたとする.
から角Aを用いた余弦定理から2次方程式を作ると,
 a2=b2+c2−2bc cos A
 
 
解の公式から・・・(このままでは,いずれが答か,両方とも答なのか決まりません.)
C>Aによりc>a」(** 角度が大きければ対応する辺も大きい)となるから・・・(答)
**「三角形において,角度が大きければ対応する辺も大きい」という定理は,広く使える.特に「最大角には最大辺が,最小角には最小辺が対応する」という形でよく使う.
 次の式「A>Ba>b」は下記のように,図で示せる.
ア)B<A≦90°のとき,正弦定理により
 a=2Rsin A
 b=2Rsin B だからa>b
イ) B<90°<Aのとき,右図ののときに,A+B=180°になって三角形ができないから,Bよりも小さな角度でなければならない.このとき,sin A>sin Bとなるから,ア)の場合と同様に正弦定理を用いて,a>bが示せる.


(別解2) 上記の(1)(2)まで同じ答案を書いたとする.
から角Bを用いた余弦定理から2次方程式を作ると,
 b2=c2+a2−2ac cos B
 
 c2−2c−2=0
 解の公式から, c>0により・・・(答)
※(第二)余弦定理で2次方程式を作る方法は,有力な方法です.この方法を用いるときには,見かけの解が2つ登場する場合がありますので,上の例のように吟味して答を選びます.
《問題》
次の△ABCについて,指定されたものを下の選択肢から選んで,クリック(タップ)しなさい.
 (選択肢をクリックすれば,採点結果と解説が出ます.見ているだけでは解説は出ません.)
(1)
 △ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ.


(2)
 △ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ.


→解答を隠す←
(3)
 △ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ.


(4)
 △ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ.


(5)
 △ABCにおいて,のとき,辺aの長さを求めよ.


(6)
 △ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ.


(7)
 △ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ.


(8)
 △ABCにおいて,のとき,辺aの長さを求めよ.


(9)
 △ABCにおいて,のとき,辺bの長さを求めよ.


(10)
 △ABCにおいて,のとき,辺aの長さを求めよ.


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