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== 筆算だけで解く問題(1) ==
自宅や学校で学習しているときは,教科書の巻末についている三角関数表を見ることもできますし,あればコンピュータも利用することができます.だから,普通の状況では,sin46°とかcos12°のような覚えていない角度の三角比の値でも自由に使える(ただし小数点以下第4位までの小数の値)ことになっています.
そこで,sin75°,cos105°などの値が必要になったら,別の角度を利用する方法を探します.
これに対して数学の試験の場合には,特に許可されない限り数表やコンピュータ,携帯電話は持ち込めないのが普通です.このように,高校生が最もよく出遭う場面では,問題は「筆算だけ」で解かなければなりません. このように数学の試験のように「筆算だけで解かなければならない問題」ではsin75°,cos105°のような値は,覚えていないから使えないことになります. このときに用いられるものには,「正弦定理」「余弦定理」の他「余弦定理で2次方程式を作る方法」「第一余弦定理」「三角形の内角の和」などがあります.
b2=c2+a2−2ca cos Bなど
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[第一余弦定理]
(解説) 次の図のように,Aから垂線をひくと, a=b cos C+c cos B 第一余弦定理は,1つの辺(a)の大きさを求めるために,辺の長さ2個,角の大きさ2個を必要とするため,余弦定理よりも「弱い」定理ですが,角Aの値が利用できないような場合に有効です. この関係を第一余弦定理,(通常用いる)余弦定理のことを第二余弦定理と呼ぶことがあります. |
例
a=2, A=45°, C=75°のとき辺cの長さを求めなさい. (第一印象) 正弦定理を利用すればcが求められるように思えますが,sin75°の値が使えません.(図↑×) (答案) 三角形の内角の和は180°だから,B=60°(図↑○)・・・(1) 正弦定理により,だから, (図↑○)・・・(2) 第一余弦定理により,(図→○)・・・(答)
参考:
(別解1) 上記の(1)(2)まで同じ答案を書いたとする. から角Aを用いた余弦定理から2次方程式を作ると, a2=b2+c2−2bc cos A 解の公式から・・・(このままでは,いずれが答か,両方とも答なのか決まりません.) 「C>Aによりc>a」(** 角度が大きければ対応する辺も大きい)となるから・・・(答)
**「三角形において,角度が大きければ対応する辺も大きい」という定理は,広く使える.特に「最大角には最大辺が,最小角には最小辺が対応する」という形でよく使う.
次の式「A>B⇔a>b」は下記のように,図で示せる. ア)B<A≦90°のとき,正弦定理により a=2Rsin A b=2Rsin B だからa>b イ) B<90°<Aのとき,右図の○のときに,A+B=180°になって三角形ができないから,Bは○よりも小さな角度でなければならない.このとき,sin A>sin Bとなるから,ア)の場合と同様に正弦定理を用いて,a>bが示せる. (別解2) 上記の(1)(2)まで同じ答案を書いたとする. から角Bを用いた余弦定理から2次方程式を作ると, b2=c2+a2−2ac cos B c2−2c−2=0 解の公式から, c>0により・・・(答) |
※(第二)余弦定理で2次方程式を作る方法は,有力な方法です.この方法を用いるときには,見かけの解が2つ登場する場合がありますので,上の例のように吟味して答を選びます. |
《問題》 次の△ABCについて,指定されたものを下の選択肢から選んで,クリック(タップ)しなさい. (選択肢をクリックすれば,採点結果と解説が出ます.見ているだけでは解説は出ません.)
(1)
△ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ. 解答を見る |
(2)
△ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ. 解答を見る 次に,第1余弦定理 c=a cos B+b cos A cos Aを含む余弦定理 a2=b2+c2−2bc cos Aに代入 解の公式により により |
(3)
△ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ. 解答を見る |
(4)
△ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ. 解答を見る
三角形の内角の総和は180°だから
C=180°−(A+B)=135° A=30°,C=135°を使って正弦定理により解くと ※角度が2個与えられている問題では,角度が3個決まるので,形は1つ→(辺が少なくとも1つ与えられているから)答えは1つ |
(5)
△ABCにおいて,のとき,辺aの長さを求めよ. 解答を見る
三角形の内角の総和は180°だから
A=180°−(B+C)=45° A=45°,B=30°を使って正弦定理により解くと ※角度が2個与えられている問題では,角度が3個決まるので,形は1つ→(辺が少なくとも1つ与えられているから)答えは1つ |
(6)
△ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ. 解答を見る
三角形の内角の総和は180°だから
A=180°−(B+C)=30° A=30°,C=45°を使って正弦定理により解くと ※角度が2個与えられている問題では,角度が3個決まるので,形は1つ→(辺が少なくとも1つ与えられているから)答えは1つ |
(7)
△ABCにおいて,のとき,辺cの長さを求めよ. 解答を見る
三角形の内角の総和は180°だから
C=180°−(A+B)=30° B=135°,C=30°を使って正弦定理により解くと (参考) 正弦定理でaを先に求める方法もAが15°なので筆算では行き詰ります. ※角度が2個与えられている問題では,角度が3個決まるので,形は1つ→(辺が少なくとも1つ与えられているから)答えは1つ |
(8)
△ABCにおいて,のとき,辺aの長さを求めよ. 解答を見る
三角形の内角の総和は180°だから
C=180°−(A+B)=45° B=120°,C=45°を使って正弦定理により解くと 2辺が分かったので余弦定理と使うと により ※角度が2個与えられている問題では,角度が3個決まるので,形は1つ→(辺が少なくとも1つ与えられているから)答えは1つ |
(9)
△ABCにおいて,のとき,辺bの長さを求めよ. 解答を見る
余弦定理
a2=b2+c2−2bc cos Aに代入 解の公式を使って解くと b>0だから (参考) 角Cを求めてから,次に③によりBを求め,さらに②により辺bを求める作戦はBが75°になるので筆算では行き詰ります. 角Cを求めると辺角2組がそろうので,次に第1余弦定理により辺bを求めることはできます. ≪この場合の答案の流れ≫ 正弦定理によりC=45° 第1余弦定理により |
(10)
△ABCにおいて,のとき,辺aの長さを求めよ. 解答を見る
余弦定理
c2=a2+b2−2ab cos Cに代入 解の公式を使って解くと a>0だから (参考) 角Bを求めてから,次に③により角Aを求め,さらに②により辺aを求める作戦はAが75°になるので筆算では行き詰ります. 角Bを求めると辺角2組がそろうので,次に第1余弦定理により辺aを求めることはできます. ≪この場合の答案の流れ≫ 正弦定理によりB=45°(B=135°はC=60°と矛盾) 第1余弦定理により |
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